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  • 執筆者の写真紘照 山崎

【疾患解説】五十肩(肩関節周囲炎)

更新日:2019年3月12日





 「最近体の調子が悪くなったから先ずは鍼灸治療を受けに行こう。」となる人は少ないこの世の中では、何ヶ所か病院や医療機関を周って 「最後の神頼み」 で鍼灸院にいらっしゃる方は少なくはありません。

 五十肩は未だにその原因や病態が明らかとなっていないためか、治療を受けてもなかなか良くならず、どこの医療機関に行っても思ったような効果は得られなくて最終的に鍼治療を希望されるケースは非常に多いです。

 体の中でも肩関節はとても複雑で、私自身最も興味を持っている関節であり五十肩をライフワークとしております。

 そんな厄介な五十肩についてわかりやすく説明させて頂き、当院で行なっている治療をご紹介致します。



五十肩 (肩関節周囲炎) とは

 【五十肩】 という言葉は江戸時代から用いられてきたと言われていますが、五十肩は通俗的病名で(ぎっくり腰、むち打ちもその一つ) 医学的には 【肩関節周囲炎】 と名前が付けられています。

 肩関節周囲炎には8つの病態に分けられて以下のような名前が付けられており、その一つに五十肩が存在しますが、 「(広義の)五十肩」 として肩関節周囲炎と同義に用いることもあります。


①腱板炎

②腱板断裂

③石灰沈着性腱板炎

④肩峰下滑液包炎

⑤上腕二頭筋長頭腱炎

⑥烏口突起炎

⑦腱板疎部炎

凍結肩(いわゆる五十肩)


 一般的に 【五十肩】 とは 「50歳代を中心とした年齢に多発する、肩関節の痛みと可動域制限を主徴とする症候群」 とされています。

 レントゲンやMRIなどの検査で①〜⑦を疑う所見がなく、50歳前後で肩の痛みと腕が挙がらないなどの症状があれば 【五十肩】 と診断されます。


 50歳が「長寿」と言われた時代は、五十肩になったらむしろ喜ぶべき「長寿病」と言われた時代もあったそうですが、平均寿命が上がった現代ではそうは言ってられません。



治療は早期に始める事が大切

 五十肩は一般的に 「疼痛」 が徐々に強くなり、その山がピークになる頃らか肩関節周囲の軟部組織が癒着し 「拘縮」 と言われる関節が固まった状態になります。(図1)

 拘縮に至ると、治療をその時点で介入しても肩の可動域制限が増悪する事が多いですが、その山を低くしたり寛解に至るまでの期間を早める事は出来ると考えております。



 また、有明医療大学の水出靖先生のご報告では、疼痛と可動域制限は共に拘縮が無い症例の方が改善しやすい傾向にあるとされておりますので、治療は自発痛や可動域制限がない早期に開始する事が望ましいです。肩こりとは違う肩の痛みを感じたり、病院で五十肩と診断された場合は早期に鍼治療を始める事が大切です。



病変部位

 主に悪さをする部位は肩関節における以下の4つの部位と言われています。(図2)


 ①腱板滑動部

 ②長頭腱滑動部

 ③腱板疎部

 ④関節包

            図2. 病変部位(左肩を前から見た図)


①腱板滑動部

 この部位は腕を挙げることにより骨と骨の間(上腕骨頭と肩峰)が狭くなり、間に存在する軟部組織(肩板や肩峰下滑液包)が機械的な刺激を受けやすい部位なので損傷を受けやすいと言われています。またこの部位は血液循環が悪いと言われていて、損傷した場合の修復反応が悪い危険な領域(critical zone) と言われています。ここで起きた炎症は「癒着性滑液包炎」に至ると関節拘縮となり腕が挙がらないという状態に陥ります。


②長頭腱滑動部

 ここにある「上腕二頭筋長頭腱」という紐状の腱は約90°曲がった構造をしていて腕を挙げたり下げたりする事により機械的な刺激を受けやすいと言われています。この部位に炎症が起こると肩関節周囲炎の「上腕二頭筋長頭腱炎」と病名が付けられますが、上腕二頭筋長頭は腕を挙げる際に腕の骨が肩甲骨にぶつからないように制御する役割も持っている為、凍結肩(いわゆる五十肩)においても二次的に悪くなるケースが多いと考えています。


③腱板疎部

 棘上筋と肩甲下筋の間にある薄い膜様構造をしている部位で、腱板疎部がある事により肩関節は色々な方向に大きく動かすことできます。なのでこの部位が癒着すると肩関節の拘縮が起こると言われています。


④関節包

 ①〜③の部位の炎症が波及する事により生じる癒着性関節包炎は関節の拘縮を起こします。関節包は肩関節を覆っていますが、腕を下ろした姿勢では弛緩した関節包が脇の部分ではたわんでいて、その部位が癒着する事により腕が上がらなくなります。



当院での治療戦略

 五十肩の治療を行う当院のアプローチ方法を、「痛み」 「可動域制限」 の2つに分けて説明します。


 先ず、じっとしていると疼く痛みが出る 《自発痛》 や、夜寝ていると痛みで目が覚めてしまう 《夜間痛》 がある場合著効を示すのが、筑波技術大学の藤井亮輔先生が考案された 【肩甲上神経本幹パルス】 という治療法です。(図3.4)


 肩関節の痛みを伝える神経の大半は「肩甲上神経」であり、その神経が過敏になっている状態を落ち着かせる目的で治療します。またこの神経の本幹という部位は血管の収縮・弛緩に関係する神経の枝があります。この部位の治療は肩関節周囲の血行動態だけでなく骨内の循環も良くする可能性がある為、自発痛や夜間痛の原因の一つと言われる骨内循環不全が改善し、自発痛・夜間痛に著効を示すと考えています。



             図3. 肩甲上神経本幹の刺鍼部位(❌)


             図4. 肩甲上神経本幹パルスの治療風景


 もちろん、筋肉の滑走不全や過緊張により痛みが出ている部位は、直接はりや道具を使った筋膜リリースで治療していきます。




 次に腕が挙がらないといった可動域制限に対するアプローチです。


 肩関節の拘縮は、様々な部位が癒着することにより起こります。

 肩関節の可動域は0°〜180°までありますが、その角度により伸びたり滑走しなければならない筋肉や軟部組織は異なります。

 なので動かせる可動域に応じてアプローチしていく部位は変わり運動療法の方法も変わります。(可動域を改善させる治療は鍼だけでなく運動療法も合わせて行います。)


 もう少し具体的に説明すると、

 ・ 挙上115°以下の場合は肩甲骨の下方を治療

 ・ 挙上120°を超えたら肩甲骨後方を治療

 ・ 挙上120°以上で背中に手が回らない場合は肩甲骨上方を治療

 となります。


 また、五十肩の場合表層にある筋肉 (アウターマッスル) の過緊張を緩め肩関節のずれを改善した状態で深層筋 (インナーマッスル) の運動療法を行わないと関節に負担をかけ痛みが増す可能性があるので、患者様にも普段からアウターマッスルを緩めるセルフケアを行なってもらい治療を円滑に行えるようにしています。



症例

 実際に治療をした 「症例」 と 「患者様の声」 をご紹介します。


 先ずは、初診時に両腕とも同じくらい挙げる事が出来た症例です。

 可動域の左右差がない場合は治りが早いです。


 症例2作成中 


 以下は治療を受けてくださった患者様の声です。




まとめ

 五十肩は治療開始が遅くなると非常に厄介な症状を呈します。

 症状が重度の場合は鬱傾向に陥ってしまうケースも珍しくないです。


 ・ 腕を動かすと肩に強い痛みを感じる方

 ・ 肩の痛みで夜眠れない方

 ・ 病院に通っているがもっと早く治したいと思っている方


 このような方はなるべく早く鍼治療を受ける事をおすすめ致します。


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